あの人は、誰に向かってでもなく
皺だらけの遠い目で
向かいのホームを見つめて
台風が秋の風を運んできたよ
と少し笑いながら、
静かに言った
その瞬間、風を感じた
きっとずっとそこにあったけど、
気付けていなかった
でも、それは
間違いなく秋の風だと思った
綺麗な時間だ
と思った
そういえば昼のセミの声は消えて
夜のスズムシの声は増えて
ふとした時に感じとれる
季節の変わり目が好きです
暦の上の数字で決められない
いとしない、
ふとした、
瞬間が好きです
固まりかけた認識をひっくり返せる
もう秋みたいですね
秋も嫌いじゃないです
そんな感じ